木材加工見学で加子母へ
昨日はかねてから予定していた木材加工の現地視察。
柱や梁が現場に搬入されて組立てられて行くのも素晴らしいが
そのまえにどういう風に大工さん達が加工してくれているかを見学できるのは
とても楽しみだし、そう見れる物ではない。
朝7時に掛川を出発。
加工工場のある岐阜県中津川の加子母に着いたのは11時。
メンバーは寺総代の面々と建設委員、そして住職の15名ほどの団体さん。
加工工場ではすでに施工者中島工務店のほうで今日の視察の用意完了。
看板の後ろの大きな丸太は小屋組に使う松丸太。
産地は岩手なのだけれど震災の後すぐに急いで加工場の方へ運ばれたもの。
あれから早一年以上こうして静かに乾燥されている。
まずは加納棟梁から図面で説明をしてもらい
そのあと加工工場二階の原寸場へ。
原寸用の板図に書かれた工事名、
これを見ればどれだけ施工者が真剣なのか見てわかるというもの。
これは屋根の反りを原寸で表したもの。
これから建てられる龍登院の本堂の屋根は寄せ棟なのだけれど
入母屋の様にその豪華な形で見せる屋根ではなく
微妙な屋根や軒の反り、そして軒下に見える化粧垂木の曲がりなど
とても繊細なデザインが目を見張る屋根にしたい。
そんな思いから施主側から
奈良の秋篠寺を例に出させてもらっている。
そして棟梁はそれに答えるべきデザインを形にしてくれている。
本堂が完成してすばらしいと思うのは当然だけれど
こうしていざ加工されて行く経過を理解していくことが
作り手の方達への感謝につながるのだとつくづく思う。
いよいよ木材の加工場へ。
広い加工場だけれど所狭しと材が並べられて刻まれていく。
複雑な加工を熟練の手が淡々と動いて。
奥では若手の手も休まず動く。
今回刻みに携わってくれている大工さんは棟梁以外7名。
そのうち3名は若手の新人。
きっと棟梁に怒鳴られ先輩の技を見ながら育っていくのだろう。
そしてこの龍登院を建てたことは一生心に残るだろう。
柱の刻み。
私が見ても何処にどの材がつながるのかさっぱり見当がつかないけれど
この加工をみればどれほどの技が必要なのかは誰でも感じたことだろう。
柱の背割れにはめ込まれた長ホゾ。
普通だったらもっと短いホゾで納めてあとはボルトで締め上げるのだけれど。
棟梁曰く、200年以上保たすなら長ホゾで締めなくてはいけない。
加工が済んで仮組を待つ材達。
出番が近づいてくるのを黙って待っている様に見えたのは私だけだろうか。
材木の加工視察が済んで立ち寄った恵那にある住宅会社のモデルハウス。
今で言うゼロエネ住宅のまさに先端をいくような家。
土壁の快適さと現在の断熱空調設備のコラボレーション。
でも一つ思ったこと
完全に近い高気密高断熱で外気をいっさいシャッタウト。
そして最初から夏の刺すような日差しやその暑さの中のひと時のそよ風は敵対視。
だからすべて閉じきって家の中にこもる。
確かに涼しく快適な家の中。
でもなにか違うと思う。
夏の暑い日差しには深い軒と解放された空間。
夏の陽の明るさと家の中の暗さのコントラスト。
そんな夏の陽が私はとても好きだ。
梅雨が急にいなくなり加子母の夏がやって来た。
そして秋には無事建て方が始まります様に。
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